2008年06月11日

掲示板 VOL.18...その4

■こころのことのは

私は生かされている。
野の草と同じである。
路傍の小石と同じである。
生かされているという宿命の中で、
精いっぱい生きたいと思っている。
精いっぱい生きるなどということは
難しいことだが、
生かされているという認識によって、
いくらか救われる。

-日本画家 東山 魁夷 (1908~1999)

横浜生まれ、神戸育ち。画家志望を反対する父親を日本画家ならとしぶしぶ承知させ、東京藝術大学日本画科入学。実家が経済的に困窮している時、学費を稼ぎ、卒業後はドイツに留学。初めは自費での渡航、のちには交換学生の推薦を受け2年間の留学生活を送る。帰国後は、なかなか作品に評価を得られず迷いの日々を過ごす。終戦近くに召集を受け熊本へ。爆弾を抱えて敵陣に飛び込む惨めな特訓の合間に、熊本城を走らされる。自らの死を目前にして眺めたその時の風景に「・・・どうしてこれを描かなかったのだろうか。今はもう絵を描くという望みはおろか、生きる希望も無くなったというのに・・・」今までになかった風景への感動を覚えながら、汗と埃にまみれ泣きながら走り続けた。戦前に結核で兄を亡くしていたが、戦中に父親、戦後間もなく母親が、第1回日展での落選直後に最後の肉親であった弟が結核で他界。やっとのことで再び絵筆を手にした時は、絶望のどん底、深いあきらめ、そして全てあるがままをうつす静かな心境・・・これが結実し初めての評価を受けたのが「残照」(1947年第3回日展特選)だった。
多くの画家は光の反射を捉えて描く。魁夷のそれは、光を吸収したあとのものの「影」を感じ描かれたものであろう。四季折々の小さな島国で育った日本人であるからこそ気が付くことができる自然界のささやかな生命の営み。古来、日本に存在した「かさね色目」。彼の色彩にはそれに通ずる感覚がある。また画面に独特のリズムを生んでいるのは、ドイツ留学中の音楽の素養が背景になっている。音楽が成立するには「変化と統一性」が大事な要素。魁夷の絵には「繰り返し=統一性」「アクセント=変化」が認められる。モーツァルトを愛聴していたらしい。彼は描くことを「祈り」であるという。日本画家にされ、風景画を描かされていると。自然や人間の営みに対する敬虔な祈り。描くことは自分の命の昇華でもあるのだろう。やさしい色合いの絵からはとても想像できないほど、芯の強さを備えた人。本物の強さは重なるとやさしさに変わる。             
  
■編集後記
徳島県上勝町。町民2000人。標高600Mの山村。高齢化率50%。2003年、2020年目標に未来の子供たちのためのごみゼロ(ゼロ・ウエイスト)宣言。ゴミ回収車は来ない。生ゴミは、自己負担1万で役場が生ゴミ処理機を設置、たい肥にする。ゴミは、収集センター1カ所に町民が持参し34種目に分別する。・・・大変な努力にも関わらず、リサイクル、消化できないゴミは全体ゴミ重量の3割を占めるそうだ。製造企業が消費後を考えた商品作りをしないと解決できない。本当のエコは半端じゃ出来ない。便利な生活の変更、「面倒臭い」払拭の困難さ・・・。
それでもそれでも未来はやってくる。
環境月間4つのお願い。節電/エコバッグ&マイ箸/アイドリングストップ/不法投棄禁止&ポイ捨て禁止!


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